「〜になることを、文字を使って説明しなさい」。この問題で手が止まるのは、計算ができないからではなく、書き出しを知らないからです。
文字式の説明には、決まった答案の型があります。「n を整数とすると」で書き始め、式を1本立てて変形し、「よって〜である」で言い切る。この3つを順に書くだけです。思いつきで書く問題ではありません。
当サイトが16都道県の公立高校入試(令和4〜8年度)を調べたところ、文字式は16都道県すべてで出ていました。そのうち、文字式を使った説明や規則性(倍数・偶数と奇数・連続する整数・n番目など)を扱ったカードは、14都道県・125枚ありました。
この記事では、「説明しなさい」を3行で書く型と、文字のおき方の早見表、そして規則性(n番目)の式の立て方をまとめます。
1. まず結論|「説明しなさい」は3行の型で書く
文字式の説明は、次の3つの段でできています。
- 文字でおく……「n を整数とすると、〜は◯と表せる」
- 式を変形する……足したり引いたりして、「3×(整数)」のような形にする
- 言い切る……「◯は整数だから、〜は3の倍数である。よって、〜」
「連続する3つの整数の和は、3の倍数になる」を、この型で書くとこうなります。
いちばん大事なのは②の終わりの形です。3n+3 のままでは「3の倍数」とは言えません。3(n+1) とくくって、「3×(整数)」の形を見せてはじめて、③で言い切れます。
③の「n+1 は整数だから」は、飾りではありません。かっこの中が整数だと言わなければ、3(n+1) が3の倍数だとは言えないからです。最後の「よって、〜である」まで書いて、説明が終わります。
2. 文字のおき方は、この表だけ覚えればよい
3行の型のうち、問題ごとに変わるのは①の「文字のおき方」だけです。入試でよく使うものは、次の表でほぼ足ります。
| 表したいもの | おき方(n、m、a、b は整数) |
|---|---|
| 偶数 | 2n |
| 奇数 | 2n+1 |
| 3の倍数(◯の倍数) | 3n(◯n) |
| 連続する3つの整数 | n、n+1、n+2(真ん中を n にして n−1、n、n+1 でもよい) |
| 連続する2つの偶数 | 2n、2n+2 |
| 連続する2つの奇数 | 2n+1、2n+3 |
| 2けたの自然数 | 10a+b(十の位が a、一の位が b) |
| その十の位と一の位を入れかえた数 | 10b+a |
たとえば「2けたの自然数と、その十の位と一の位を入れかえた数の和は、11の倍数になる」なら、
- もとの数の十の位を a、一の位を b とすると、もとの数は 10a+b、入れかえた数は 10b+a と表せる。
- (10a+b)+(10b+a) = 11a+11b = 11(a+b)
- a+b は整数だから、11(a+b) は11の倍数である。よって、2けたの自然数と、その十の位と一の位を入れかえた数の和は、11の倍数になる。
おき方が変わっても、②で「11×(整数)」の形にして、③で言い切る流れは同じです。
3. 規則性(n番目)は、表にしてから式にする
「n番目の個数を n の式で表しなさい」という規則性の問題も、文字式の応用です。ここで手が止まる人は、図をにらんだまま、いきなり式を考えていることが多いです。
順番は「1番目・2番目・3番目を数える → 表にする → 増え方を見る → 式にする → 確かめる」。式は最後です。
碁石を正方形のわくの形に並べていく例で見てみます。1番目は1辺に2個、2番目は1辺に3個、3番目は1辺に4個です。
数えると 4個・8個・12個。表にすると、1つ進むごとに4個ずつ増えているのが分かります。4ずつ増えるなら、式は 4n の形です。
- 増え方が一定なら、式は「(増える数)×n+(調整の数)」。4ずつ増えて1番目が4なら、4×1+0 なので調整は0、式は 4n です
- 式ができたら、n=1、2 を入れて確かめる。4×1=4、4×2=8 で、数えた個数と合います
- 確かめで合わなければ、表の数え方か、調整の数がまちがっています
「n番目は4n個」のように答えを1つ出す問題でも、「いつも4の倍数になることを説明しなさい」と聞かれる問題でも、表から式を立てるところまでは同じです。説明を求められたら、そこから1章の3行の型につなげます。
4. 🔴 別々の数には、別の文字を使う
「偶数と奇数の和は奇数になることを説明しなさい」。ここで、偶数を 2n、奇数を 2n+1 とおいてしまうまちがいがあります。
2n と 2n+1 に同じ n を使うと、n=1 なら2と3、n=2 なら4と5……と、となりどうしの組しか表せません。これでは「2と7」のような組が説明から抜けてしまいます。
2つの数を自由に選べるときは、文字を2つ使います。m、n を整数として、偶数を 2m、奇数を 2n+1 とおくと、
2m+(2n+1) = 2(m+n)+1
m+n は整数だから、2(m+n)+1 は奇数である。よって、偶数と奇数の和は奇数になる。
反対に、「連続する2つの整数」のように2つの数がつながっているときは、n と n+1 のように同じ文字で表します。2つの数がつながっている(「連続する」など)なら同じ文字、自由に選べるなら別の文字、で決まります。
5. 落としやすいところ4つ
- ① 「整数」の問題で「n を自然数とする」と書く。自然数は1、2、3、…だけなので、0や負の数の場合が説明から抜けます。問題文が「整数」なら、n も整数とおきます
- ② 変形が途中で止まる。3n+3 のままでは3の倍数と言えません。3(n+1) のように、かっこでくくった形まで書きます
- ③ 「◯は整数だから」と「よって、〜」を書かない。式を変形しただけで終わると、何を説明したのかが伝わりません。最後に、問題文の言葉をくり返して言い切ります
- ④ 規則性の式を確かめない。立てた式に n=1、2 を入れて、数えた個数と合うかを見ます。ここを飛ばすと、1つずれた式に気づけません
6. 練習問題(3問)
すべてオリジナルの問題です。答えは下にあります。3行の型(文字でおく → 変形する → 言い切る)で、紙に書いてから答え合わせをしてください。
第1問(連続する数)
連続する3つの偶数の和は、6の倍数になります。このことを、文字を使って説明しなさい。
第2問(2けたの数)
2けたの自然数から、その数の十の位の数と一の位の数の和をひくと、9の倍数になります。このことを、文字を使って説明しなさい。
第3問(規則性)
同じ長さの棒を使って、正方形を横1列につなげて並べます。正方形が1個のときは棒4本、2個のときは7本、3個のときは10本を使います。
(1)正方形を n 個つくるときに使う棒の本数を、n の式で表しなさい。
(2)ちょうど100本の棒をすべて使うと、正方形は何個できますか。
解答
第1問
n を整数とすると、連続する3つの偶数は 2n、2n+2、2n+4 と表せる。
2n+(2n+2)+(2n+4) = 6n+6 = 6(n+1)
n+1 は整数だから、6(n+1) は6の倍数である。よって、連続する3つの偶数の和は、6の倍数になる。
※ 6n+6 で止めず、6(n+1) とくくるところまで書きます。たとえば 2+4+6=12、4+6+8=18 で、どちらも6の倍数です。
第2問
2けたの自然数の十の位の数を a、一の位の数を b とすると、その数は 10a+b、位の数の和は a+b と表せる。
(10a+b)−(a+b) = 9a
a は整数だから、9a は9の倍数である。よって、2けたの自然数から、その数の十の位の数と一の位の数の和をひくと、9の倍数になる。
※ たとえば 57−(5+7)=45=9×5。答えは「9×(十の位の数)」になっています。
第3問 (1)3n+1 本 (2)33個
(1)正方形の数と棒の本数を表にすると、1個→4本、2個→7本、3個→10本で、1個増えるごとに3本ずつ増える。3×1+1=4 なので、式は 3n+1。n=2 を入れると 3×2+1=7 で、合っている。
(2)3n+1=100 より 3n=99、n=33。
※ 最初の1本(左はしの縦の棒)に、正方形1個ごとに3本ずつ足していく、と考えても 3n+1 になります。
7. どの都道県で出ているか
当サイトが教材づくりで調べた、16都道県の公立高校入試(令和4〜8年度)のカードを数えました。文字式のカードは16都道県すべてにあり(373枚)、そのうち文字式を使った説明や規則性を扱ったカードは14都道県・125枚でした。
| 都道県 | カード | 確認できた年度 | 都道県 | カード | 確認できた年度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 8枚 | 2024・2026 | 長野 | 5枚 | 2022・2023・2025・2026 |
| 青森 | 9枚 | 2024〜2026 | 滋賀 | 12枚 | 2025・2026 |
| 宮城 | 2枚 | 2024・2026 | 奈良 | 10枚 | 2024〜2026 |
| 秋田 | 7枚 | 2022・2024〜2026 | 和歌山 | 12枚 | 2022〜2026 |
| 群馬 | 3枚 | 2026 | 広島 | 14枚 | 2023〜2026 |
| 埼玉 | 6枚 | 2024〜2026 | 福岡 | 14枚 | 2024・2025 |
| 東京 | 7枚 | 2022・2026 | 高知 | 16枚 | 2023〜2026 |
この125枚を、どんな題材が出てくるかでも数えました。
| 題材(問題文・答えに出てくる語) | カード | 都道県 |
|---|---|---|
| 倍数(「◯の倍数」) | 34枚 | 9 |
| 偶数・奇数 | 31枚 | 11 |
| 規則性・◯番目 | 30枚 | 11 |
| 連続する整数 | 29枚 | 11 |
| 「( )は整数だから」 | 21枚 | 8 |
| 位の数(十の位・一の位など) | 17枚 | 9 |
| 「説明」という語 | 37枚 | 10 |
※ 年度は、当サイトの教材づくりで確認できた範囲です。表にない年度に出題がなかったことを示すものではありません。神奈川・愛知は、この数え方にあてはまる単元名・語のカードがなかったため表に入っていませんが、出題がないという意味ではありません。単元の分け方は都道県ごとに違うため、単元名だけで拾うと計算や文章題のカードもまじります(宮城・群馬・埼玉など)。そこで、問題文・答えに題材の語を含むカードだけを数えています。問題文・図は載せていません(各都道県の教育委員会が公開しているものをご覧ください)。「都道県」と書いているのは、北海道・東京都と県が混ざっているためです。
自分の都道府県の過去問がどこで手に入るかは、公立高校入試の過去問|都道府県別リンク集にまとめています。
まとめ|書き出しと結びを決めれば、「説明しなさい」は書ける
- 文字式の説明は3行の型:①文字でおく ②式を変形する ③言い切る
- ②は「3×(整数)」のように、かっこでくくった形まで変形する
- ③は「◯は整数だから、〜は3の倍数である。よって、〜」まで書く
- 文字のおき方は偶数 2n・奇数 2n+1・連続する整数 n、n+1、n+2・2けたの数 10a+b
- 別々の数には別の文字(2m と 2n+1)。「連続する」なら同じ文字
- 規則性は表にしてから式。最後に n=1、2 を入れて確かめる
当研究所が運営する学習塾でも、文字式の説明は毎回のように扱う分野です。書き出しと結びの形を一度決めてしまえば、「何を書けばいいか分からない」で手が止まることは、減るはずです。
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