相対度数は、割り算を1回するだけの計算です。それなのに、テストでよく落とします。
理由ははっきりしています。計算のしかたではなく、「なぜ相対度数を使うのか」が分かっていないからです。
全国学力・学習状況調査(令和3年度・中3)で、「2つの分布を比べるのに相対度数を使うのは、何が違うからか」を選ぶ問題の全国の正答率は 36.8%でした。正解は「度数の合計」。いちばん多かった誤答は「階級ごとの度数」で 32.2%です(岡山県教育庁「学力向上担当者通信 No.6」令和3年9月13日)。
相対度数を習うのは中学1年です。入試まで2年あくので、忘れたままになりやすい単元でもあります。この記事では、「なぜ使うのか」から5分で思い出せるようにまとめます。
当サイトが16都道県の公立高校入試(令和4〜8年度)を調べたところ、相対度数は16都道県すべてで出ていました。どの県で受けるにしても、捨てられない単元です(県ごとの出題年度はこの記事の後半にまとめました)。
🔑 5分で思い出す必殺技(相対度数)
- 相対度数 = その階級の度数 ÷ 度数の合計(割り算1回)。全部の階級を足すと 1 になる
- 人数のちがう集団は、度数ではなく相対度数で比べる(度数のままでは逆の結論になることがある)
- 累積相対度数がはじめて 0.5 をこえた階級に、中央値がある(度数分布表からは中央値そのものは出せない)
くわしくは下の2章(なぜ相対度数で比べるのか)と4章(累積相対度数)へ。箱ひげ図・四分位数は → 箱ひげ図は5分で思い出せる
1. まず結論|相対度数 = その階級の度数 ÷ 度数の合計
相対度数は「全体のうち、どれくらいの割合か」を表す数です。合計すると 1 になります。
例えば40人の組で、ある階級に14人いれば、相対度数は 14 ÷ 40 = 0.35 です。
※ 小数で表すのがふつうです。四捨五入して書くときは、合計が 0.99 や 1.01 になることもあります。
2. 🔴 なぜ「度数」ではなく「相対度数」で比べるのか
ここが、いちばんのつまずきです。人数のちがう2つの集団を比べるときに効いてきます。
A組40人とB組25人の通学時間を調べたとします(当サイトが作った例です)。
| 通学時間(分) | A組(40人) | B組(25人) |
|---|---|---|
| 0以上10未満 | 10人 | 3人 |
| 10以上20未満 | 14人 | 7人 |
| 20以上30未満 | 10人 | 9人 |
| 30以上40未満 | 6人 | 6人 |
| 合計 | 40人 | 25人 |
「20分以上かかる人」を、人数のままくらべてみます。
A組 16人、B組 15人。A組のほうが多く見えます。
ところが、同じデータを相対度数にそろえると、ひっくり返ります。
| 通学時間(分) | A組の相対度数 | B組の相対度数 |
|---|---|---|
| 0以上10未満 | 10 ÷ 40 = 0.25 | 3 ÷ 25 = 0.12 |
| 10以上20未満 | 14 ÷ 40 = 0.35 | 7 ÷ 25 = 0.28 |
| 20以上30未満 | 10 ÷ 40 = 0.25 | 9 ÷ 25 = 0.36 |
| 30以上40未満 | 6 ÷ 40 = 0.15 | 6 ÷ 25 = 0.24 |
| 合計 | 1.00 | 1.00 |
20分以上の割合は、A組 0.25+0.15 = 0.40、B組 0.36+0.24 = 0.60。人数では A組のほうが多いのに、割合では B組のほうが高い。
🔴 人数がちがう集団どうしを、度数のまま比べてはいけません。そろえるべきは「全体を1としたときの割合」=相対度数です。これが「度数の合計が違うから」という答えの意味です。
3. 用語の整理(ここだけ覚えれば読める)
| ことば | 意味 |
|---|---|
| 階級 | 「10以上20未満」のような区切り |
| 階級の幅 | 区切りの広さ。上の例では 10 |
| 階級値 | その階級のまん中の値。「10以上20未満」なら 15 |
| 度数 | その階級に入っているデータの個数(人数) |
| 相対度数 | 度数 ÷ 度数の合計 |
| 累積度数 | いちばん下の階級から、その階級までの度数を足したもの |
| 累積相対度数 | 相対度数を同じように足したもの。最後は 1 になる |
| ヒストグラム | 度数を長方形で表したグラフ(棒グラフと違い、ふつうすき間をあけない) |
| 度数折れ線 | 各長方形の上の辺のまん中を結んだ折れ線 |
「10以上20未満」の境目にある 20 は、上の階級(20以上30未満)に入ります。「以上」はその数を含み、「未満」は含みません。
4. 累積相対度数で、中央値のある階級が分かる
相対度数を上から順に足していくと、累積相対度数になります。A組で足してみます。
| 通学時間(分) | 相対度数 | 累積相対度数 |
|---|---|---|
| 0以上10未満 | 0.25 | 0.25 |
| 10以上20未満 | 0.35 | 0.60 |
| 20以上30未満 | 0.25 | 0.85 |
| 30以上40未満 | 0.15 | 1.00 |
累積相対度数がはじめて 0.5 をこえた階級に、中央値があります。
A組は2つめの階級で 0.60 になるので、中央値は「10分以上20分未満」の階級です。40人の中央値は20番目と21番目の平均ですが、どちらもこの階級に入っているので、中央値のある階級はこれで決まります。
※ 度数分布表からは「中央値そのもの」は出せません。中央値が入っている階級までしか分かりません。ここを聞かれます。
5. 度数分布表から平均値と最頻値を出す
もとの一つひとつの値が分からなくても、階級値を使えば平均値を見積もれます。
平均値 =(階級値 × 度数)の合計 ÷ 度数の合計
A組なら(5×10 + 15×14 + 25×10 + 35×6)÷ 40 = 720 ÷ 40 = 18.0 分。B組は(5×3 + 15×7 + 25×9 + 35×6)÷ 25 = 555 ÷ 25 = 22.2 分です。
最頻値は、いちばん度数の多い階級の階級値です。A組は14人の階級なので 15分、B組は9人の階級なので 25分。
※ 「いちばん度数の多い階級」そのものを答えさせる問題もあります。階級を答えるのか、階級値を答えるのかを読み違えないこと。
6. 入試でよく問われる5つの形
| 形 | 問われ方 | やること |
|---|---|---|
| ①埋める | 度数分布表の空欄を埋める | 合計から逆算。相対度数は 度数 ÷ 合計 |
| ②行き来する | 相対度数から度数を、度数から相対度数を出す | 度数 = 相対度数 × 合計 |
| ③累積を読む | 「◯分未満は全体の何割か」「中央値はどの階級か」 | 累積相対度数。0.5 をこえた階級 |
| ④比べて書く | 2つの集団を比べ、理由を書く | 相対度数にそろえてから比べる |
| ⑤選ぶ | ヒストグラムから言えることを選ぶ | 読めるもの・読めないものを区別する |
🔴 ④が差のつくところです。書き方の型を覚えてしまいましょう。
- 人数(度数の合計)がちがうので、相対度数で比べると書く
- それぞれの相対度数の値を書く(0.40 と 0.60 のように)
- どちらが大きいかを書く
- だから何が言えるのか(結論)を書く
例:「A組とB組は人数がちがうので、相対度数で比べる。20分以上の相対度数はA組0.40、B組0.60で、B組のほうが大きい。だから、通学に20分以上かかる人の割合は B組のほうが高いといえる。」
⑤で落としやすいのは、ヒストグラムから読めないものです。
- ひとりひとりの値は読めません(階級の中のどこにいるかは分からない)
- 正確な平均値・中央値は読めません(階級値を使った見積もりまで)
- 最大値・最小値も、入っている階級までしか分かりません
7. 練習問題(3問)
当サイトが作ったオリジナル問題です。手を動かして確かめてください。
第1問(①②)
ある中学校の50人について、15分以上20分未満の階級の度数は 12人でした。この階級の相対度数を求めなさい。
第2問(③)
ある階級までの累積相対度数が 0.42、次の階級までが 0.68 でした。中央値はどの階級にありますか。
第3問(④)
C組30人のうち、本を5冊以上読んだ人は 12人。D組45人では 15人でした。どちらの組のほうが「5冊以上読んだ人の割合」が高いかを、理由をつけて書きなさい。
解答
- 12 ÷ 50 = 0.24
- 累積相対度数が 0.5 をはじめてこえるのは、0.68 になった階級。したがって その階級(0.42 の次の階級)に中央値がある
- 人数がちがうので相対度数で比べる。C組は 12 ÷ 30 = 0.40、D組は 15 ÷ 45 = 0.33…。C組のほうが大きいので、5冊以上読んだ人の割合はC組のほうが高い
第3問は、人数だけ見ると D組(15人)のほうが多く見えます。そこで引っかからないことが大事です。
8. 箱ひげ図とのつながり
ヒストグラムも箱ひげ図も、データの散らばりを見る道具です。得意なことが違います。
| ヒストグラム | 箱ひげ図 | |
|---|---|---|
| 得意 | 山の形が見える(どこに多いか) | 複数の集団を並べて比べやすい |
| 苦手 | 集団を並べると見比べにくい | 山がいくつあるかは分からない |
| 読める数 | 階級ごとの度数・相対度数 | 最小値・第1四分位数・中央値・第3四分位数・最大値 |
箱ひげ図のほうは、【高校入試】箱ひげ図は5分で思い出せるにまとめています。2つあわせて「データの活用」のほぼ全体になります。
9. どの都道県で出ているか
当サイトが教材づくりで調べた、16都道県の公立高校入試(令和4〜8年度)です。16都道県すべてで、相対度数にふれる出題がありました。
| 都道県 | 確認できた年度 | 都道県 | 確認できた年度 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 2025・2026 | 滋賀 | 2022〜2026 |
| 青森 | 2024・2025 | 奈良 | 2026 |
| 宮城 | 2025・2026 | 和歌山 | 2023・2026 |
| 秋田 | 2024 | 広島 | 2023・2025・2026 |
| 群馬 | 2025・2026 | 高知 | 2024〜2026 |
| 埼玉 | 2024・2025 | 福岡 | 2024〜2026 |
| 東京 | 2022〜2026 | 愛知 | 2026 |
| 神奈川 | 2024 | 長野 | 2024〜2026 |
※ 年度は、当サイトの教材づくりで確認できた範囲です。表にない年度に出題がなかったことを示すものではありません。問題文・図は載せていません(各都道県の教育委員会が公開しているものをご覧ください)。「都道県」と書いているのは、北海道・東京都と県が混ざっているためです。
自分の都道府県の過去問がどこで手に入るかは、公立高校入試の過去問|都道府県別リンク集にまとめています。
まとめ|割り算1回で、確実に取れる単元です
- 相対度数 = 度数 ÷ 度数の合計。合計は 1
- 人数がちがう集団を比べるときに使う。度数のままでは逆の結論になることがある
- 累積相対度数がはじめて 0.5 をこえた階級に中央値がある
- 平均値は階級値を使う。最頻値はいちばん度数の多い階級の階級値
- 記述は「人数がちがうので相対度数で」→「値」→「大小」→「結論」の順で書く
当研究所が運営する学習塾でも、「本当は難しくないのに、忘れていて得点を逃す」生徒が目立ちます。相対度数はその代表です。逆にいえば、思い出すだけで戻せる点数が、ここにあります。
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この記事のような「思い出せば取れる」知識を、5教科ぶんまとめて確認したい方は、一問一答&暗記カードをご覧ください。都道府県別の版と全国版があります。
数字の出どころ
- 正答率 36.8%・誤答「階級ごとの度数」32.2%(令和3年度 全国学力・学習状況調査 中学校数学 大問8(2))… 岡山県教育庁 義務教育課「学力向上担当者通信 No.6」(令和3年9月13日)
- 相対度数を用いると大きさの異なる集団の比較がしやすくなること … 中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編 P.90
- 16都道県の出題 … 各都道県教育委員会が公表した学力検査問題・正答表(令和4〜8年度)をもとに、当サイトが数えたもの
