入試まで、あと5か月ほど。この時期に「分野別過去問」を手に入れた人が、いちばん迷うのはここだと思います。
得意な分野をもっと伸ばすのか。苦手な分野を先につぶすのか。
どちらも正しく聞こえます。ただ、残り時間は決まっています。この記事では、解いたあとの仕分けのしかたと、目標点別の時間の配りかたを書きます。分野別過去問そのものの選び方は、すでに別の記事にあります(→ 分野別過去問で得点を跳ね上げる勉強法)。
分野別過去問は「解く」より「仕分け」で差がつく
分野別過去問の良いところは、同じ形式の問題が続けて並んでいることです。年度別と違って、1回の演習で「この分野が今どうなっているか」がはっきり出ます。
ところが、多くの人は丸つけをして、間違えた問題に印を付けて終わりにします。これだと「どの分野に、これからの時間を使うか」が決まりません。仕分けは3分で終わります。
解いたら、3つの箱に分ける
丸つけのあと、間違えた問題だけをその場で解き直します。答えは見ません。そのうえで、分野ごとに次の3つに分けてください。
A:取れている分野
8割以上とれた。間違えたのは読み違い・計算違いだけ。
→ 今は触らない。2週間後にもう1回だけ解いて、落ちていないか確かめます。
B:あと一歩の分野
半分くらいとれた。または、解き直したら自力で解けた問題が多かった。
→ ここが、いちばん点になります。知識やコツの抜けが少しあるだけなので、埋めればすぐ上がります。
C:手が出ない分野
ほとんど手が動かない。解き直しても解けない。解説を読んでも、途中から分からない。
→ 分野別過去問では解きません。教科書か基礎の問題集に戻る分野です。いま過去問で粘っても時間だけが減ります。
分け方の基準は、「解き直しで自力に戻せたか」です。正答率だけで決めると、まぐれ当たりの分野がAに入ってしまいます。
時間の配りかたは、目標点で変わります
5教科合計の目標点で、BとCの扱いが変わります。下の比率は目安です。公式に決まっているものではありませんので、模試の結果や残り時間に合わせて動かしてください。
目標 200〜250点
Cが多くて当たり前です。Bの分野と、Cのうち「基礎に戻れば届く分野」だけに絞ってください。目安は、B:Cの基礎戻し=6:4。Aは月1回の確認で十分です。手をつけない分野があってかまいません。全部に触ると、全部が中途半端になります。
目標 300点前後
Bが主役です。目安は B:C=7:3。Cは「出題が多い分野」に限って基礎に戻ります(どれが多いかは次の章のデータで決められます)。得意分野(A)を伸ばすのは、この点数帯ではあと回しでかまいません。伸びしろが小さいからです。
目標 400点以上
ここで初めてAを伸ばす価値が出ます。目安は A:B:C=3:5:2。Aの分野は、正答率ではなく「最後の1問」を取りにいきます。Cは、後回しにする分野を決めるのもこの時期です。そのかわりBは取りこぼしをゼロにします。
目標点ごとの5教科の優先順位は、こちらにまとめています。
→ 【中3の秋】9〜11月にやるべきこと|目標点別・5教科の優先順位
どの分野から手を付けるか(16都道県の出題データ)
同じ「1分野」でも、入試で問われる回数は違います。過去問と正答が公表されている16都道県(北海道・青森・秋田・宮城・群馬・埼玉・東京・神奈川・長野・滋賀・奈良・和歌山・広島・高知・福岡・愛知)の令和4〜8年度の入試を分析し、1つの内容を何都道県が問うたかを数えました。
下の表は、「10都道県以上が問うた内容」の割合が高い単元です。BやCが複数あって迷ったら、ここに入っている分野を先にしてください。
| 教科 | 先に手を付けたい分野(10都道県以上が問うた内容の割合) |
|---|---|
| 英語 | 頻出語彙・語形変化(74%)/熟語・連語と動詞の表現(47%)/分詞・関係代名詞(33%) |
| 数学 | 正負の数と式の計算(35%)/平方根(35%)/方程式とその利用(29%)/データの分布と標本調査(29%) |
| 理科 | 大地の成り立ちと変化(35%)/気象とその変化(32%)/運動とエネルギー(31%)/力と圧力(30%) |
| 社会 | 二度の大戦と現代(36%)/経済のしくみと財政(24%)/政治のしくみ(23%) |
| 国語 | 歴史的仮名遣いと古語(43%)/敬語と言葉遣い(40%)/品詞と用言の活用(24%) |
読み取れることが3つあります。
英語は語彙です。語彙の内容は、74%が10都道県以上で問われていました。文法をひととおりやったのに点が伸びない人は、たいていここが抜けています。
数学は、前半の計算分野の密度が高いです。「応用問題ができない」と悩む前に、正負の数・平方根・方程式の取りこぼしをゼロにするほうが、同じ時間で点が増えます。
国語と社会は、暗記で確実に埋まる分野が上位です。歴史的仮名遣い・敬語・近現代史は、読解力や思考力より先に、覚えているかどうかで決まります。Cに入れてはいけない分野です。
逆に、関数の利用とグラフの読みとり・条件作文・場面別の会話表現などは、10都道県以上で問われた内容の割合が10%を切ります。出ないという意味ではなく、県ごとの色が出やすい分野です。ここは自分の県の過去問で確かめてください。
→ 公立高校入試の過去問|都道府県別リンク集
1週間の回しかた(例)
分野別過去問は、1回にまとめてやるより、分けて何度も戻るほうが残ります。
- 平日:B の分野を1日1つ。15〜20分。前回間違えた問題から始める
- 平日のすきま:A の分野の知識確認(一問一答やアプリで5分)
- 休日:C の基礎戻しを1つ。教科書・基礎問題集で30〜40分
- 2週間に1回:A の分野を1回だけ解いて、落ちていないか確かめる
1つの分野は、最低2回は解いてください。1回目は現状を知るため、2回目は身についたかを確かめるためです。2回目で自力で解けたら、その分野はAへ移します。
入試当日までの全体の流れは、こちらにまとめています。
→ 秋以降の過去問フル活用ロードマップ
「知識が足りない」のか「解き方が分からない」のか
Bの分野でつまずくとき、原因は2つに分かれます。ここを取りちがえると、時間が消えます。
- 用語・公式・きまりが出てこない → 知識の不足です。分野別過去問を続けても埋まりません。まとめ教材や一問一答で先に入れてください
- 知識は言えるのに、手順が組み立てられない → 解き方の不足です。ここは演習の回数が効きます。解説を読んだら、必ず何も見ずにもう一度、最初から解いてください
見分け方は簡単です。解答を見て「ああ、これか」と思えたら解き方の不足、解答を読んでも用語の意味が曖昧なら知識の不足です。
道具(無料で使えるもの)
仕分けに使えるものを、こちらで用意しています。どれも登録なし、または無料です。
- 入試に出る4択100問(無料)……5教科各20問。1教科5分で、どの教科が弱いかの当たりが付きます。仕分けの前の「ざっくり診断」に
- 5教科 要点&公式まとめ(無料PDF・140項目)……公式・きまり・用語を単元ごとに1ページずつ。Bの分野の「知識の抜け」を埋めるのに使えます
- 一問一答&暗記カード……上の表と同じ分析から作った教材です。☆が「16都道県のうち何都道県が問うたか」をもとにした5段階(☆5=10都道県以上)なので、分野別過去問のBとCの優先順位づけにそのまま使えます
なお、この記事の数字と教材は、過去問の設問文や図版をそのまま使ったものではありません。問題文はすべて、学習指導要領の単元にもとづいて独自に書き起こしています。過去問は「何が、どれくらい問われているか」を調べるために使いました。
まとめ
- 分野別過去問は、解いたあとの仕分けで差がつく。A(取れている)・B(あと一歩)・C(手が出ない)の3つに分ける
- 分ける基準は正答率ではなく、解き直しで自力に戻せたか
- 目標 200〜250点はBと「基礎に戻れるC」だけ、300点前後はBが主役、400点以上で初めてAを伸ばす
- 迷ったら、16都道県で問われた回数が多い分野から。英語は語彙、数学は計算分野、国語・社会は暗記で埋まる分野が上位
- Bのつまずきは「知識不足」か「解き方不足」かを見分けてから手を打つ
10月に入ると、模試と定期テストで予定が埋まります。仕分けは、今週のうちに1回やっておくと、そのあとの2か月が楽になります。
